「ヨコワって釣っちゃダメなの?」— 先に答えます。ヨコワもメジも同じクロマグロの若魚を指す呼び名で、遊漁 (レジャーの釣り) による 30kg 未満のクロマグロの採捕は周年禁止です。リリース前提で狙うのもダメ。ただし、他の魚を狙っていて偶然掛かってしまった場合は、直ちにリリースすれば違反にはなりません。
呼び名が地方でバラバラなせいで「ヨコワは禁止と聞いたけどメジは?」という混乱が起きがちです。この記事では名前の整理から、釣れてしまった時の対応、そして紛らわしいキメジ (キハダの幼魚 = 規制対象外) との見分け方まで、水産庁の公式情報を軸に整理します。そこに、相模湾で同船の友人がメジを掛けて海に戻した場面、筆者がキメジを釣って見分けた実例、ナブラを前にしたときの筆者のルールを足しました。
ヨコワ・メジ・メジマグロは全部同じ魚 #
| 呼び名 | 主な地域 | 正体 |
|---|---|---|
| ヨコワ | 西日本 | クロマグロの若魚 |
| メジ・メジマグロ | 関東・東海 | 同上 |
| シビ | 地域による | 同上 (マグロ全般を指す地域もある) |
| コメジ・チュウメジ | 市場・魚屋 | 同上 (サイズによる呼び分け) |
水産庁の注意喚起でも「地方名でメジ、ヨコワ、シビなどと呼ばれる」と明記されています。ヨコワの名前は、若魚の体側に並ぶ白い点と横じま模様が由来です。つまり呼び名が何であれ、クロマグロの若魚なら扱いは全部同じ。ここが出発点です。
規制の中身: 30kg 未満は周年禁止 #
遊漁によるクロマグロ小型魚 (30kg 未満) の採捕は、広域漁業調整委員会指示により一年を通して禁止されています。ポイントは 2 つ。
- キャッチ&リリース前提でも禁止。「写真を撮ってすぐ逃がすから」は通用しません。狙って掛けること自体が採捕にあたります
- ヨコワ・メジのサイズ (数百 g〜10kg 程度) は、30kg のラインを大きく下回るので、迷う余地なく禁止側です
なお 2026 年には太平洋クロマグロの漁獲枠拡大が国際合意されましたが、増えたのは大型魚 (30kg 以上) の枠の話。小型魚の遊漁禁止は変わっていません。「規制が緩んだらしいからヨコワも OK」ではないので注意してください。
釣れてしまったらどうする? #
サビキやショアジギング、カツオ狙いの船で、狙っていないのにヨコワが掛かることはあります。水産庁の Q&A には、意図せず釣れた場合は直ちに海中にリリースすれば委員会指示違反にはならないことが明記されています。クロマグロ狙いの届出をしていなくても同じです。
実務としては次の形が安全です。
- できるだけ速やかに、元気なうちに逃がす。長時間の写真撮影や計測で船上に置かない
- 抜き上げずに済むサイズなら、海面でフックを外せるとダメージが少ない
- 「これはヨコワ?キメジ?」と迷ったら、確認できないものはリリースが安全側
筆者の身近な実例は、相模湾の青物狙いのジギングで、同船の友人に 4〜5kg ほどのメジが掛かった場面です。狙っていない魚なので、その場で海に戻しました。筆者が乗っている相模湾のキハダキャスティングの船では、メジが釣れた場面に出会ったことはなく、掛かるのはジギングのときでした。
キメジ (キハダの幼魚) との見分け方 #
ここが実釣でいちばん役立つ部分です。キメジはキハダマグロの幼魚で、クロマグロではないため小型魚規制の対象外。つまり「釣れた若いマグロがどちらか」で対応が変わります。
| 見るところ | ヨコワ (クロマグロ若魚) | キメジ (キハダ幼魚) |
|---|---|---|
| 体側の模様 | 白い点列と横じま | 後方へ下がる斜めの縞 |
| 胸ビレ | 短い (マグロ類で最短クラス) | ヨコワより長め |
| 体型 | ずんぐり太い | やや細長い |
| 尻びれ (臀びれ) の色 | 白 (第 2 背びれは黄色で、そこでは見分けがつかない) | 黄色。大きくなると第 2 背びれと尻びれが伸びる |
水産庁のクロマグロ遊漁の部屋には、遊漁者向けの見分け方の資料が 2 枚公開されています (小型魚向けの簡易版と、大型魚向け)。小型魚向けの簡易版は、胸びれの長さを口角から胸びれの付け根までの長さと比べる方法に加えて、クロマグロは第 2 背びれが黄色で尻びれが白、キハダは第 2 背びれも尻びれも黄色と、色で分けています。マグロが混ざる海域に通う人は、一度見ておくことをおすすめします。
筆者がキハダキャスティングで釣った 10kg ほどのキメジで、まず見たのは尻びれの色でした。第 2 背びれはクロマグロも黄色なので、そこでは見分けがつきません。尻びれが黄色ならキハダ、白ならクロマグロ。この魚は尻びれが黄色で、第 2 背びれも尻びれも伸びていました。船長の判断もキメジで、持ち帰って食べました。脂はなく、さっぱりした味でした。
それでも現場で確信が持てなければリリース。これが唯一の正解です。
なぜ小型だけ禁止なのか #
太平洋クロマグロは資源が大きく減り、国際的な管理下で回復途上にあります。小型魚を獲るのは「産卵する前の魚を間引く」ことになるため、資源への影響が大きく、漁業でも厳しく制限されています。遊漁の小型魚禁止はその一環です。
回復の成果が 2026 年の大型魚の増枠で、遊漁の年間枠も拡大されてきました。ルールを守る釣り人が増えるほど、将来「堂々と狙える魚」が増える構図です。
30kg 以上を狙いたくなったら #
ヨコワの群れの下には親魚がいることもあります。大型クロマグロを狙う遊漁には、事前の届出 (2026 年 4 月から導入)・採捕停止の公示確認・尾数上限・採捕報告といった条件一式があります。仕組みと確認手順は クロマグロは今釣っていい?30kg未満禁止と届出制・確認手順 にまとめています。筆者自身、2026 年 7 月に採捕停止の公示で遠征を直前中止した経験があり、確認手順は釣行計画の一部だと痛感しています。中止の判断材料は、水産庁のページに出た、釣行予定日からの採捕停止の発表でした。
筆者は 2026 年の届出をしていますが、ナブラ (魚が水面で群れて跳ねる状態) を見たときのルールは「まず投げない」です。跳ねている魚がメジだけなら投げません。狙って掛けること自体が採捕にあたるからです。投げるのは、キハダか 30kg 以上の親魚が同じ群れにいると確認できたときだけで、それでもメジが掛かれば海面で即リリースします。親魚かどうかは跳ねの魚体の大きさで見ていますが、その大きさの判断は経験の感覚で、数字の根拠は示せません。だから迷ったら投げない、を自分のルールにしています。
なお、合法的に採捕した大型魚でも遊漁者が釣った魚を売ることはできません。この話は 釣ったマグロは売れる? でどうぞ。
まとめ #
- ヨコワ = メジ = メジマグロ = 小型クロマグロ。呼び名が違っても扱いは同じ
- 30kg 未満は周年採捕禁止。リリース前提で狙うのも禁止
- 偶然釣れたら直ちにリリースで違反なし。迷ったら逃がす
- キメジ (キハダ幼魚) は対象外。横じま・短い胸ビレがヨコワのサイン。決め手は尻びれの色 (白ならクロマグロ、黄色ならキハダ)
- 2026 年の増枠は大型魚の話。小型魚の禁止は変わらない
- 筆者のルールは、メジだけのナブラには投げない。大きさの判断は感覚なので、迷ったら投げない
よくある質問
ヨコワとメジマグロは同じ魚ですか?
ヨコワが釣れてしまったら違反になりますか?
リリース前提ならヨコワを狙って釣ってもいいですか?
キメジは持ち帰ってもいいのですか?
2026 年の漁獲枠拡大でヨコワも釣れるようになりますか?
about the author
マグロキャスティングを軸に、ジギング・エギング・ショアの実釣を本音で発信。2018 年再開、相模湾を主戦場に活動中。


