楽天の釣具ランキングを毎月定点観測しているのですが、9月の上位に膨張式ライフジャケットが入っていました。釣り人がいま買っている道具、ということです。同時に「ライフジャケット 桜マーク」は月5,000回も検索されている。つまり、買わなきゃいけないのは分かっているが、制度が分かりにくい。この記事はそこを最短で解決します。
筆者は2020年からBlueStormの腰巻き型 (BSJ-5920RS・タイプA) を船で使っています。結論から言うと、釣り船に乗るなら「桜マーク付きのタイプA」一択です。なぜ一択なのか、タイプDやGと何が違うのか、膨張式はどの形を選ぶか、そして買った後の点検まで、国土交通省の一次情報と5年使った実機で整理します。
桜マークとは?国の型式承認に合格した証 #
桜マークは、国土交通省の型式承認試験に合格したライフジャケットの証です。浮力7.5kg以上、顔を水面より上に保てる設計など、命を預けるための基準をクリアした製品にだけ付きます。
そして2018年2月から、小型船舶 (釣り船を含む) の乗船者はライフジャケットの着用が義務になりました。ここで大事なのは、義務を果たしたことになるのは桜マーク付きだけという点です。ホームセンターや通販には桜マークのない「ライフジャケット風」の商品も混ざっていて、着ていても法律上はノーカウント。違反すると船長に違反点数2点が付き、累積すれば免許停止まであります。つまりマーク無しのジャケットで乗船すると、自分の命のリスクに加えて、お世話になる船長に迷惑がかかるわけです。
タイプA・D・F・Gの違い。釣り船はなぜA一択か #
桜マークには4つのタイプがあり、使える船の範囲が違います。
| タイプ | 使える船 | 見分け方 |
|---|---|---|
| タイプA | すべての小型船舶でOK | ラベルに桜マーク +「TYPE A」表記 |
| タイプD | 船舶検査が不要な船 (ミニボート等) や一部の漁船に限定 | 同「TYPE D」 |
| タイプF / G | さらに限定的な条件の船のみ | 同「TYPE F / G」 |
分かれ目は「その船が船舶検査を受けているか」です。遊漁船 (釣り船) はお客さんを乗せて検査を受けて営業している船なので、使えるのはタイプAだけ。商品ページに「遊漁船 (釣り船) 対応」と書いてあるのは、タイプAですという意味です。
D・F・Gが安く売られていることがありますが、釣り船に乗る予定が少しでもあるなら、最初からタイプAを買うのが結局一番安いです。筆者も購入時、商品ページで「桜マーク・タイプA」の表記を確認してから決めました。確認箇所はそれだけで足ります。
実物ではどこに書いてあるのか。筆者のジャケットのラベルがこれです。カバーを開けた中の気室 (膨らむ黄色い袋) に印字されていて、①が桜マーク、②の「胴衣の分類」欄に「全ての航行区域に適用 TYPE A」とあります。この写真は、後半の点検の話で5年ぶりにカバーを開けたときに撮ったものです。

膨張式はどの形を選ぶ?筆者は腰巻きを5年 #
桜マーク・タイプAをクリアしたら、次は形です。大きく3つあります。
- 腰巻き (ウエスト) 型: ベルトのように腰に巻く。上半身が完全に自由で、キャストもしゃくりも一切邪魔されない。筆者はこれです
- 肩掛け (サスペンダー) 型: 首から掛けるタイプ。膨張時に頭の近くで浮力が出る安心感がある。夏はやや暑い
- 固形式 (ベストタイプ): 浮力材入りのベスト。膨張の仕組みがないので確実だが、かさばって暑い。磯やボートの子ども用に強い
膨張式にはさらに自動膨張と手動膨張があります。自動は落水して水を感知するとボンベが作動して自動で膨らむ方式 (手動ハンドルも付いています)、手動は自分でハンドルを引く方式。落水時にパニックや気絶の可能性を考えると、基本は自動膨張をおすすめします。
筆者のBSJ-5920RSは水感知の自動膨張・腰巻き型で、2020年から使って5年。スリムなスティック形状で、正直「着けているのを忘れる」レベルの存在感です。ライフジャケットは着け続けられることが最大の性能なので、この「忘れるほど邪魔にならない」は褒め言葉として書いています。
ブルーストーム BSJ-5920RS2
ブルーストーム BSJ-7300RS (Re カリフウエスト)
買ったら終わりじゃない。点検の話 (筆者の反省と実話) #
正直に白状します。筆者は5年間、一度も点検していませんでした。膨張式は「いざという時に膨らむかどうか」がすべてなのに、です。
きっかけは友人の話でした。真夏に車へ積みっぱなしにしていたら、ライフジャケットが勝手に膨張していたそうです (本人談)。調べると、これはメーカーの注意書きそのものでした。製品が湿ったまま車内や倉庫で保管されると水感知センサーが誤作動 (膨張) することがあり、濡れや高湿度での自然膨張は無料保証の対象外と公式サイトに明記されています。使用後は水気を拭いて部屋干しで乾燥、保管は高温多湿を避ける。夏の車内は、その真逆の環境というわけです。
では何を点検するのか。カバーを開けてインジケーターを見ます。ボンベがねじ込まれた黒い装置 (充気装置) の根元にある緑色のクリップと、反対側の透明なキャップの内側がそれで、緑が見えていれば正常です (説明書にも「クリアキャップ内部が緑色であることを確認」とあります)。
- 緑 = ボビン (水感知センサー部) が未使用で、正しく装着されている
- 赤 = 使用済みか装着不良 → 交換が必要
緑と赤の見え方は メーカー公式の製品ページ に写真があります。なお、開けて確認するときに赤い引き手 (手動用作動レバー) だけは引かないでください (引くと膨張します)。
そして実話です。この記事を書きながら、5年無交換の筆者はまずインジケーターを確認しようと、5年間一度も開けていなかったカバーを開けてみました。

出てきたのは、白い紙に包まれた棒状のもの。「この白い紙は何だろう」と思いながら、さらに開きます。

紙の正体は「ボンベキットの交換方法」の説明書でした。ボンベキットを包むように畳まれていて、その下から銀色のボンベと黒い充気装置が現れます。

肝心のインジケーターは緑でした。ほっとしましたが、話はここで終わりませんでした。公式には「インジケーターの色に関わらず、別途ボンベの確認は必要」とあり、さらにボビンとボンベは定期的な交換が必要な消耗部品だと明記されています。5年無交換の筆者は、この記事を書きながら純正の交換キットを検討する側に回りました。
開けたついでに、気室 (膨らむ黄色い袋) のラベルも見てみました。前半で説明した桜マークと「胴衣の分類:全ての航行区域に適用 TYPE A」は、ここに印字されています。商品ページで確認して買った表記が、実物にもこのとおり付いていました。

交換の手順は、筆者の機種 (TK-5920RS型) そのものの公式動画が公開されています。装置とインジケーターの実物もこの動画で確認できます。
交換キットは装置の型式ごとに違うので、気室のラベルの「型式」欄で適合を確認してください (上の写真の表の一番上の行です。公式サポートに対応一覧 があります)。この記事で紹介した2モデルの適合キットはこちらです。
ブルーストーム 交換用ボンベキット 16HR 6F KIT
ブルーストーム 交換用ボンベキット 16HR 87000MM KIT
最後にもう1つ、公式の意外な注意を。防水・撥水・防錆スプレーをライフジャケットに使わないでください。センサーに撥水成分が付くと水を感知できなくなり、落水時に膨らまない危険があります。道具を大切にするつもりのメンテナンスが逆効果になる代表例です。
堤防でも着けるべき? #
着用が法律上の義務なのは船の上です。堤防は義務ではありません。ただ当サイトは 堤防釣りの持ち物 でも書いたとおり、堤防でも着用を推奨しています。単独釣行・夜釣り・足場の高い堤防では、落水したら自力で這い上がれない場所がほとんどだからです。腰巻き型なら邪魔にならないので、着けない理由の方が少ないはずです。
なお筆者は同行者用の予備を持っていません。初心者を船に誘うときは、船宿にレンタルの有無を事前確認する運用にしています (船釣りの持ち物 の考え方と同じです)。レンタルは桜マーク対応かも合わせて聞くと確実です。
まとめ:確認するのは「桜マーク」と「タイプA」の2つだけ #
- 桜マーク = 国交省の型式承認の証。2018年2月から船上での着用は義務で、義務を満たすのは桜マーク付きだけ
- 違反点数は船長に付く。マーク無しで乗るのは船長に迷惑をかける行為
- 釣り船は船舶検査を受けた船なのでタイプA一択。「遊漁船対応」表記 = タイプA
- 形は腰巻き・肩掛け・固形式。筆者は腰巻き自動膨張を5年、「着けているのを忘れる」のが最大の長所
- 点検はインジケーター (充気装置の緑/赤の表示) の緑を確認。ただし色に関わらずボンベの確認・定期交換も必要 (筆者は5年目に開けて緑。それでも交換キットを検討中)
- 夏の車内に置きっぱなしにしない (友人は車内で勝手に膨張 = 公式の注意書きどおり、保証対象外)。防水スプレーも使用禁止
- 堤防は義務ではないが着用推奨。予備がなければ船宿レンタルの事前確認を
安全装備はここぞの節約をする場所ではありません。桜マーク・タイプAの1本を最初に買ってしまえば、あとはどの船にも堂々と乗れます。
よくある質問
ライフジャケットの桜マークとは何ですか?
タイプAとタイプDのライフジャケットは何が違いますか?
釣り船に乗るときのライフジャケットはどれを選べばいいですか?
自動膨張式と手動膨張式はどちらが良いですか?
膨張式ライフジャケットの点検は何をすればいいですか?
about the author
マグロキャスティングを軸に、ジギング・エギング・ショアの実釣を本音で発信。2018 年再開、相模湾を主戦場に活動中。



