クロマグロキャスティングは、自分には縁のない釣りだと思っていました。キハダ用とは別にタックルを用意しなければいけない世界で、そこまでは踏み込めない。そう考えていた私が、「何事も経験」と乗ってしまったのが 2024 年 8 月、山形・酒田港の船でした。結果から言うと、釣果はゼロ。それでも、たった一度のヒットで出された 30 秒ぶんのドラグ音が、2 年経った今も耳に残っています。
「クロマグロはやらない」と思っていた #
普段の私は相模湾のキハダキャスティングが主戦場です。クロマグロに手を出さなかった理由はシンプルで、タックルの土俵が違うから。キハダ用より強いロッド、太いライン、大きいリール。一式を揃える覚悟がないなら行くべきではない、と思っていました。
それでも酒田行きを決めたのは、「何事も経験」という一言に尽きます。獲れるかどうかは別として、あの魚が跳ねる海を一度見ておきたい。そんな動機でした。
キハダ用 5 本体制から、張りの強い 3 本を選んだ #
専用タックルは持っていないので、キハダ用の 5 本体制から張りの強そうなロッドを 3 本選び、ラインは PE6 号で挑みました。クロマグロ用としては細めの部類です。「これで獲れるのか」という不安はありましたが、まずは掛けてみないことには始まりません。
ベタ凪の海、遠くで跳ねるクロマグロ #
当日はベタ凪。海面は穏やかそのもので、その静けさの向こうで、クロマグロが飛び跳ねるのが何度も見えました。個人的な感覚ですが、普段相模湾で見ているキハダの跳ねより明らかに勢いがあり、上がる水飛沫も一段と大きい。距離があっても伝わってくる迫力で、跳ねているサイズは 50kg くらいはありそうだな、と感じました。
ただ、跳ねはすれども、キャストが届く範囲にチャンスが巡ってくることはなかなかありません。結果的に、この日射程に入った本当のチャンスは一度きりでした。
その一投。「ほっとけ」で 50kg 級がヒット #
その瞬間は突然来ました。激しく水面でマグロが飛び跳ねている群れが射程に入り、そこへキャスト。ルアーは菊池工房のバブルスイマー 180 です。
食わせたのは、いわゆる「ほっとけパターン」でした。着水後にルアーを動かさず、そのまま放置する。跳ねの中では下手に動かすより、浮かせたままの方が食うことがあります。この日はそれがはまり、置いたバブルスイマーにクロマグロが出ました。
30 秒の攻防、そしてバラシ #
ヒットの直後から、ドラグが止まりません。30 秒ほど、ただ一方的に糸を出され続けました。キハダとは別の生き物だと分からされる時間でした。
そして、ふっとテンションが抜けました。反転したのか、フックが外れたのか。正確なところは分かりませんが、私の初クロマグロは 30 秒で終わりました。
追い打ちのように、同じタイミングでヒットしていた同船者も早い段階でバラシ。そちらはフックが伸ばされていました。ラインでもロッドでもなく、フックが負ける。クロマグロの力は、こちらの想像の一段上にありました。
敗北から持ち帰ったもの #
釣果ゼロ。それでもこの日の収穫は大きかったと思っています。
- 掛けることはできる。キハダ用の流用でも、ヒットまでは持ち込めた
- 獲れるかは別問題。30 秒のドラグ音と、伸ばされた同船者のフックが、専用タックルの意味を体で教えてくれた
- そして何より、あの海を見てしまった。50kg 級が跳ねる海を見て、「もう一度」と思わない釣り人はいません
「クロマグロはやらない」と思っていた私は、帰りの車でリベンジの算段を始めていました。次は、道具からきちんと向き合うつもりです。
その顛末は2026年の記事に続きます。
よくある質問
クロマグロキャスティングはキハダ用タックルで代用できますか?
クロマグロキャスティングのPEラインは何号が目安?
「ほっとけパターン」とは何ですか?
酒田のクロマグロはいつ狙えますか?
初ヒットを出したルアーは何ですか?
about the author
マグロキャスティングを軸に、ジギング・エギング・ショアの実釣を本音で発信。2018 年再開、相模湾を主戦場に活動中。



