筆者の家には大型SWスピニングリールが6台あります。15ツインパワーSWが4台、21ツインパワーSWと25ソルティガが各1台。マグロキャスティングを軸に使い込んできた道具たちです。
このうち中古3.5万円で買った15ツインパワーSW 14000XGは、使い始めて4〜5年になります。それでも塩噛みやシャリ感は今のところゼロ。やってきたことは、毎釣行後の水洗いだけです。オーバーホールには一度も出していません(これが正直どうなのかも、後半で包み隠さず書きます)。
この記事では、シマノ公式の洗い方を裏取りしたうえで、筆者が続けている風呂場10〜15分のルーティンを紹介します。公式と照合して初めて気づいた「やってしまっていた2つ」も正直に書きました。
リールは水洗いしていい? #
海水で使ったリールは、毎回真水で洗うのが基本です。最新の防水機構があっても表面や可動部の塩分は蓄積するため、シマノ公式のメンテナンスコラムも流水での洗浄を推奨しています。
逆に、ボディを開ける分解は公式が「元の巻きごこちに戻らなくなるケースもある」として推奨していません。日常ケアは水洗いと注油だけで十分、という整理です。
「防水リールだから洗わなくていい」は誤解です。防水機構が守るのは内部への浸水で、ボディ表面・ラインローラー・ベール可動部の塩は、洗わない限り残り続けます。
シマノ公式の洗い方。禁止事項は3つ #
公式手順の要点は次の流れです。
- ドラグを締める(内部への浸水防止。スプールは外さない)
- 常温の流水で全体の塩と汚れを流す(スプールを前に出すとローターとの間が洗いやすい)
- ラインの塩分を指の腹で優しく擦って落とす
- 塩噛みしやすいラインローラーは、ローラーを回しながら丁寧に
- ハンドルノブとベール付け根(アームカム)の可動部も流す
あわせて、公式が明記する禁止事項が3つあります。
- 温水を使わない(グリスが流れてしまう恐れ)
- 洗浄中はハンドルを回さない(スプール軸が前後してボディ内へ水を引き込む)
- 水に漬け込まない
補足すると、この温水NGは「グリスが入ったリール本体」の話です。本体に巻いたまま洗うときはラインごと常温の水で流します。公式が「ぬるま湯にラインを浸して塩抜き」を挙げているのは、空スプールに巻き替えてラインを本体から切り離した場合だけです。塩はぬるま湯の方が溶けやすいので「塩抜きといえばお湯」の直感自体は間違いではなく、グリスのある本体に当てなければよい、が正確な整理です。
乾燥は「ハンドルを勢いよく回して水滴を飛ばす → 乾いた布で拭く → 風通しのよい日陰で自然乾燥」。ドライヤーの熱風や直射日光は内部の蒸れにつながるためNGです。ハンドルを回してよいのは洗浄中ではなく、水を切るこの段階です。
正直に告白。筆者がやっていた「公式と違う2つ」 #
この記事を書くために公式を読み直して、少し青ざめました。筆者の以前のやり方は2箇所、公式と違っていたからです。
1つ目はぬるま湯です。風呂場のシャワーで洗うので、以前はリールもぬるま湯で流していました。しかし公式は「洗浄時の注意点としては、グリスが流れてしまう恐れがあるので温水は使わないこと」と明記しています。
2つ目はハンドルです。以前は回しながら全方位を流していましたが、公式は「洗浄中はハンドルを回さないことです。ハンドルを回すとスプール軸が前後した際にボディ内へ水分を引き込んでしまうことがあります」としています。
それでも5年・6台で塩噛みゼロだったのは事実です。熱い湯ではなかったこと、1台あたりの洗い時間が短いことに救われていたのだと思います。この2つを知ってからは、リールは常温の水で流し、ハンドルは水切りのときにだけ回すやり方に改めました。この記事の手順も、すべて公式に沿った現在のやり方で書いています。
帰宅後10〜15分。タックル全部の塩抜きルーティン #
筆者は帰宅したらすぐ、海水に触れたものを全部風呂場へ運びます。ロッド、リール、使ったルアー、タックルボックス、クーラーボックス。疲れていても、ここだけは当日のうちにやります。
港での下準備がひとつだけあります。ルアーを外し、リーダーとスナップの接続も切ってから帰ること。家に着いたら「洗うだけ」の状態にしておくのが、続けるコツです。
洗いはすべて常温の水です。温度で悩む必要はなく、蛇口から出る水をそのまま使います。
- ロッド: シャワーの水でさっと流す。ガイド周りは特に丁寧に
- リール: ドラグを締めた状態で、常温の水で全体を流す(ハンドルは回さない)
- ルアー: 水でさっと流し、フックやスプリットリングなど金属部分は入念に。塩分が気になるときは、ぬるま湯に浸けて塩抜きしてから乾かします
- タックルボックス: 基本は外側だけ。中は汚れが気になったときに洗う
- クーラーボックス: 外側を流す。魚を入れた日は、内側を食器用洗剤とスポンジで「食器を洗う感覚」で洗う。次に開けるとき気持ちよく使えるよう、臭いを残さないのがマイルールです
流し終えたらタオルで水気を拭き取ります。ロッドはガイド、リールは全体、ルアーは金属部分をしっかり。ボックス類も拭いておくと綺麗さが保てます。
ここまでで10〜15分。あとは乾きやすい場所に移して陰干しし、片付けは翌日です(その日は疲れて寝ます)。泊まり遠征のときだけは例外で、港で水道を借りられれば、その場で簡単な水洗いを済ませます。
なぜドラグは「締めて洗い、緩めて保管」なのか #
洗うときに締めるのは、ドラグ内部への浸水を防ぐためです。スプールの隙間からドラグワッシャーに水と塩が入ると、滑り出しの変化や固着の原因になります。公式もスプールを外さず「軽く締め込んだ状態で」洗うよう指定しています。
保管で緩めるのは逆に、ドラグワッシャーを圧縮したまま放置しないためです。締めっぱなしはワッシャーのへたり、つまりドラグ性能の低下につながるとされます。筆者は「拭き終わったら緩める」までをセットの習慣にしています。
実は1、2度、締め忘れたまま洗ってしまったことがあります。幸い不具合は出ていませんが、これは釣行中のドラグ設定のままで、ゆるゆるではなかったのが救いだったのだと思います。ヒヤリとはしたので、いまは「風呂場に持ち込んだら、まず締める」で固定しています。
オイル・グリスはシーズンの区切りに1回 #
毎回の水洗いに注油はしていません。オイルとグリスを差すのは、シーズンの区切りや「しばらく行かないな」と分かったタイミングだけです。
使うのはシマノ純正のリールメンテナンススプレー2本、オイル(SP-013A)とグリス(SP-023A)です。公式も日常メンテはこの2本で十分としていて、スプール軸と見えるボルト部にオイル、ハンドルノブとベール付け根の可動部にグリス、という使い分けです。吹きすぎは禁物で、1秒ほど吹いたら余分は拭き取ります。
オイルとグリス、なぜ使い分けるのか #
理屈はシンプルです。オイルは粘度が低く、さらさらしていて細部に浸透します。だから「軽く速く回ってほしい場所」、つまりスプール軸やベアリング周りに使います。回転の抵抗を増やさないのが役目です。
グリスは粘度が高く、塗った場所に留まります。だから「動きがゆっくりで、力がかかり、水や塩が入りやすい場所」、つまりギアやハンドルノブ、ベールの付け根に使います。油膜が長持ちし、水と塩に対する蓋の役割も果たします。
逆に使うと両方損をします。回転部にグリスを塗ると回りが重くなり、ギアにオイルを差しても油膜がすぐ切れて保護になりません。留まってほしい所はグリス、回ってほしい所はオイル。覚えるのはこれだけです。
DG-1とスプレーグリスは何が違う? #
もう1本、筆者の手持ちには「シマノ DG-1」というグリスがあります。スプレーグリスと同じ仲間に見えますが、役割がまったく違います。
スプレーの2本は、外から手が届く場所(ノブ、ベール付け根、スプール軸)の日常メンテ用です。吹き付けて油膜を作り、動きを滑らかにして塩と水から守る、いわば全身用です。
DG-1はSWスピニングリールのドラグワッシャー専用のグリスです。ドラグは「締めながら、狙った強さで滑らせる」場所で、ひたすら滑らかにすればいい他の部位とは役割が逆。DG-1は高負荷がかかるSWスピニングのドラグの滑りを保つための専用品で、筆者も以前、ドラグワッシャーの表面に薄く塗って使いました(公式の対象はスピニングのみ。両軸・ベイト・電動リールには使えません)。
だからドラグ周りにスプレーグリスやオイルを吹き込むのはNGです。滑り出しの特性が変わってしまうため、ここだけは専用品を使うか、触らずオーバーホールに任せます。
なお、DG-1は頻繁に塗るものではありません。塗るにはスプール内部を開ける必要があり、開けるほど水分や異物が入るリスクが増えるうえ、厚塗りはドラグが滑りすぎる原因になります。筆者が塗るのは、オイル・グリスと同じくシーズン終わりなどの節目です。滑り出しのガクつきや異音など、ドラグに違和感が出たときも出番になります。
ドラグワッシャーは摩擦材の消耗品です。緩めて保管し、違和感が出たら専用グリスでケアする。この積み重ねが、消耗を遅らせて交換やオーバーホールまでの距離を延ばしてくれます。
オイル (SP-013A) とグリス (SP-023A) 各60mlのセット。
公式が「日常メンテはこの2本で十分」とする純正スプレーで、スプール軸など回転部にオイル、ハンドルノブやベール付け根の可動部にグリスと使い分けます。筆者もシーズンの区切りにこの2本だけで5年、塩噛みゼロです。
シマノ リールメンテナンススプレー SP-003H (オイル・グリスセット)
SWスピニングリールのドラグワッシャー専用グリス30g。
高負荷ドラグの滑り出しを保つ専用品で、ワッシャー表面に薄く塗って使います。スプレーグリスの代用は不可、対象はスピニングのみ (両軸・ベイト・電動リールには使えません)。塗るのはシーズン終わりなどの節目で十分です。
シマノ ドラググリス DG-1 (DG12)
オーバーホールには出すべき?筆者の正直な現在地 #
公式の推奨は「一般的な釣行ペースで年に1度、頻繁なら半年に1度」。海水に水没させた場合も、出すほうが安心とされています。
対して筆者は、5年間で一度も出していません。定期的に出したほうが良い状態で長持ちすることは頭では分かっているのですが、「気になる症状が出てからでいいか」とサボっているのが正直なところです。水洗いだけで今のところ不具合ゼロという事実と、推奨をサボっている自覚。両方をそのまま書いておきます。
唯一の例外がソルティガです。25ソルティガはダイワのフラッグシップアフターサービス対象で、2031年3月末まで修理・オーバーホールを何度でも手数料4,950円(消耗・故障部品代は無料)で受けられます(ダイワアプリとSLP PLUSへの登録が必要。2026年9月時点の公式案内)。主力の1台なので、これは期限内に一度使うつもりです。
手入れの成果はリセールにも表れます。中古3.5万円で買った14000XGの中古相場は、5年たった今も大きくは崩れていません。エギングリールの記事で書いたとおり、良いリールは手入れ次第で資産にもなります。大型SWリールの選び方自体はシマノのマグロ用リール記事にまとめています。
まとめ:洗うのは10分、守るのは3つだけ #
- 海水で使ったリールは毎回真水で洗います。ドラグを締めて、常温の流水で、漬け込まない。公式の禁止3つ(温水・洗浄中のハンドル・漬け置き)さえ守れば、難しいことはありません
- 拭いたらドラグを緩めて陰干し。注油はシーズンの区切りに、シマノ純正のオイルとグリス2本で十分です
- 筆者は大型SW 6台を5年、このルーティンだけで塩噛みゼロ。ただしオーバーホール年1回の公式推奨はサボっている自覚があります
- 手入れは釣果には直結しませんが、リールの資産価値と「次の釣行をすぐ始められる状態」を守ってくれます
よくある質問
リールは水洗いしてもいいですか?
リールをお湯で洗ってもいいですか?
洗うときドラグは締めますか?緩めますか?
洗いながらハンドルを回してもいいですか?
オーバーホールはどのくらいの頻度で出すべきですか?
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マグロキャスティングを軸に、ジギング・エギング・ショアの実釣を本音で発信。2018 年再開、相模湾を主戦場に活動中。



