シマノでマグロ・カツオ用のスピニングリールを選ぼうとすると、迷いが 3 つ重なります。スフェロスSW からステラSW まで 4 つあるグレード、4000 から 30000 まである番手、そして PG・HG・XG というギア比です。
筆者はツインパワーSW 14000XG でキハダ 30kg をキャッチし、ストラディックSW 6000XG で 3〜5kg のカツオを釣ってきました。同船者のステラSW を借りて触ったこともあります。この記事では、その実体験とシマノ公式のスペック表を突き合わせて、3 つの迷いを一つずつ整理します。結論を先に言うと、スペック表の数字ではステラとツインパワーの差はほとんど見えません。差がどこにあるのか、どちらを選ぶべきかを正直に書きます。
マグロ用リールの番手はどう選ぶ? #
番手は「狙う魚」と「PE 何号を何 m 巻くか」で決まります。目安は、カツオ 6000〜8000 番 (PE3〜4 号)、キハダ 8000〜14000 番 (PE4〜6 号)、クロマグロ 18000 番以上 (PE8 号〜) です。
| ターゲット | 番手の目安 | PE の目安 |
|---|---|---|
| カツオ・キメジ (3〜5kg) | 6000〜8000 | 3〜4 号 |
| キハダ (20〜40kg) | 8000〜14000 | 4〜6 号 |
| クロマグロ (50kg〜) | 18000〜20000 | 8 号〜 |
| 特大・遠征クラス | 25000〜30000 | 8〜12 号 |
大事なのは「号数×長さ」がその番手に収まるかです。たとえばツインパワーSW 14000XG の糸巻量は PE6 号-300m、8 号なら 200m まで。筆者のキハダタックルは PE5 号をメインに、状況によって 6 号も使いますが、どちらも 14000 なら 300m 巻けます。一方、クロマグロ用に 8 号を 300m 巻きたいなら、この番手では足りません (この話は最後の章で)。
なお「細い糸を長く (4 号 500m) と太い糸を短く (6 号 300m)、どちらが大物に有利か」という議論がありますが、筆者はその中間の 5 号をメインにして、太さの安心が欲しい状況では 6 号を選んでいます。ラインシステムの詳細はキハダタックル 5 本編成の記事にまとめています。
PG・HG・XG (ギア比) はどう選ぶ? #
PG・HG・XG はギア比の違いで、ハンドル 1 回転で巻ける長さが変わります。PG は低速・トルク重視、HG が中間、XG は高速回収型。キャスティング主体なら、ルアー回収と手返しに勝る XG が定番です。
ツインパワーSW 6000 番の公式値で比べると差がよく分かります。
| ギア比表記 | ギア比 | 最大巻上長 (1 回転) | 公式の位置づけ |
|---|---|---|---|
| 6000PG | 4.6 | 83cm | スローな誘い・ゴリ巻き |
| 6000HG | 5.7 | 103cm | 万能型 |
| 6000XG | 6.2 | 112cm | すばやい回収・ナブラ撃ち |
ナブラ撃ちでは「投げて、回収して、また投げる」の繰り返しになるので、1 回転で 30cm 近く違うと手返しに効いてきます。筆者のリールはツインパワーもストラディックもすべて XG です。
XG の代償は巻きの重さですが、現行モデルはステラ譲りのインフィニティドライブ (高負荷時の巻き上げ抵抗を減らす機構) を搭載しており、ここはかなり緩和されています。ちなみにステラSW の 30000 番には PG しかありません。超大型相手は速度より巻き上げトルクという、シマノの設計思想が読み取れます。
同じ番手なら、グレードはどれを選ぶ? #
シマノの大型 SW スピニングは、下からスフェロスSW → ストラディックSW → ツインパワーSW → ステラSW の 4 グレードです。番手ごとの定価 (税別、2026 年 7 月時点) を並べると構造が見えます。
| 番手 | スフェロスSW | ストラディックSW | ツインパワーSW | ステラSW |
|---|---|---|---|---|
| 6000 | 18,500 円 | 38,000 円 | 68,400 円 | 140,000 円 |
| 8000 | 19,800 円 | 44,200 円 | 79,800 円 | 155,000 円 |
| 10000 | なし | 44,200 円 | 79,800 円 | 160,000 円 |
| 14000 | なし | なし | 79,800 円 | 160,000 円 |
| 18000〜30000 | なし | なし | なし | 180,000〜198,000 円 |
表から分かることが 2 つあります。キハダの本命番手 14000 はツインパワーとステラの 2 択であること、そしてクロマグロ番手 (18000 以上) はステラにしかないことです。
もう一つ、スペック表で見える差がドラグです。8000 番の最大ドラグ力はスフェロス 13kg・ストラディック 16kg に対し、ツインパワーとステラは 25kg。大物を想定するほど、上位 2 グレードとの間に線が引かれています。
ステラとツインパワー、値段ほどの差はある? #
14000XG 同士を公式スペック (2026 年 7 月時点) で直接比べます。
| ツインパワーSW 14000XG | ステラSW 14000XG | |
|---|---|---|
| 定価 (税別) | 79,800 円 | 160,000 円 |
| 最大ドラグ力 | 25kg | 25kg |
| ギア比 / 最大巻上長 | 6.2 / 134cm | 6.2 / 134cm |
| 自重 | 660g | 685g |
| ベアリング数 | 10/1 | 12/1 |
| PE 糸巻量 | 6 号-300m、8 号-200m | 6 号-300m、8 号-220m |
定価は約 2 倍なのに、ドラグも巻上長も同じ、自重はむしろツインパワーが 25g 軽い。スペック表では差がほとんど見えないのです。
実際、筆者は同船者のステラSW 14000XG が付いたロッドを借りて巻かせてもらったことがありますが、正直に言って、ちょっと触ったくらいでは違いが全く分かりませんでした。
では差額 8 万円は何なのか。公式ページを読み比べると、ステラだけに搭載されているものが 5 つあります。
- XXタフドラグ: ドラグワッシャを上下からサンドする構造で耐熱・耐久が向上。18000 以上はクロマグロを想定した耐久テストで前作比 10 倍をうたう
- インフィニティループ: 密巻きでキャスト時のライン放出が滑らかになり、高ドラグ時のラインの喰い込みも抑える
- インフィニティクロス: ギアの歯当たり面積を広げて耐久性を上げる (歯幅は従来比約 1.3 倍)
- 細部の作り: DLC 加工ラインローラー、専用鍛造ハンドル、大径ドラグノブなど
- 専用アフターサービス: 2031 年 5 月まで年 1 回のオーバーホールで交換部品代が無料
共通しているのは、どれも「高い負荷が長く・繰り返し掛かったときに、性能がどれだけ落ちないか」に効く装備だということです。裏を返せば、ツインパワーは長時間の高ドラグファイトや高負荷の積み重ねでステラより先に余裕がなくなりやすい「はず」です。ただしこれは搭載差からの推測で、公式がツインパワーの弱点を明言しているわけではありません。筆者の実釣でも、後述のとおりその差が出る領域にはまだ到達していません。
ひとつ補足すると、ネット上には「ツインパワーSW はボディやローターが樹脂」という情報が残っていますが、これは旧世代の話です。現行 21 モデルは金属の HAGANE ボディ + アルミの X リジッドローターで、この点はステラと同じ構成です。
リセールバリューという、もう一つの判断軸 #
見落とされがちですが、中古市場の値持ちもグレード選びの実質コストに効きます。筆者は 15 年モデルのツインパワーSW 14000XG を中古約 3 万 5,000 円で買いましたが、4〜5 年使った今も、メルカリでは同じ 3〜4 万円で取引されています。発売から 10 年近いモデルがほぼ値崩れしていないわけです。
中古需要が圧倒的に強いのはステラとツインパワーで、将来の売却まで考えるならこの 2 グレードが有利です。筆者のように「売らずに使い潰す・予備機として持ち続ける」前提なら、この軸は無視してストラディックまで視野に入ります。
ツインパワーSW 14000XG でキハダは獲れる? #
獲れます。筆者は 15 年モデルのツインパワーSW 14000XG で、30kg のキハダを約 5 分のファイトでキャッチしました。ドラグは手で引いて 5kg 前後の設定。多少ドラグを出されたものの大きく走られることはなく、滑りの不安定さも熱ダレもライントラブルもありませんでした。
ここで強調したいのは、これがインフィニティドライブもヒートシンクドラグも載っていない 10 年前の世代での結果だということです。現行の 21 モデルはそこにステラ譲りの機構が追加されています。旧世代で獲れたのだから、強化された現行で足りないはずがない、というのが筆者の実感です。この初キャッチまでの顛末は原点の記事に書きました。
正直に書いておくと、30kg は筆者にとって初めての大型で、ファイトも 5 分と短かったため、「ステラと比べて巻きが重いか」「弱点はどこか」を語れるほどこのリールを追い込めていません。ドラグの真価が問われるような 30 分級のファイトも未経験です。分からないことは分からないと書いておきます。
なお筆者はこの 14000XG を、新品購入・友人からの購入・フリマ購入を含めて 4 台体制にしています。同じリールを買い増ししているのが、一番正直なレビューかもしれません。
6000 番はストラディックSW で足りる? #
カツオ (3〜5kg) までなら足ります。筆者は 20 ストラディックSW 6000XG に PE3 号を巻いて 2020 年から使っていますが、伊勢のカツオ・キメジは全てこのリールで釣っており、不具合は一度もなく現役です。
購入のきっかけは、通っていた遊漁船の船長の「カツオ用にはマグロロッドより柔らかい 7ft くらいのロッドと 6000 番くらいのリールを用意した方がいい」という提案でした。ツインパワー 6000XG ではなくストラディックにしたのは、当時ちょうど新モデルが出たタイミングで、価格がツインパワーより 3 万円ほど安かったからです。5 年使った結論として、この選択に後悔はありません。
注意点は番手を上げたときです。現行ストラディックSW の最大ドラグは 8000 番で 16kg、10000 番で 15kg と、ツインパワー・ステラの 25kg から明確に下がり、14000 番はそもそも存在しません。6000 帯の近海ゲームならストラディックはベストバイ候補、キハダ以上を見据えるならツインパワー以上、というのが筆者の整理です。
1 万円台のスフェロスSW についても触れておきます。実用ドラグは 5kg。奇しくも筆者がキハダ戦で使ったドラグ設定と同じ値で、数字の上では「戦えなくはない」ラインですが、実用値の上限に張り付いた運用には余裕がありません。XG がなく 10000 以上の番手もない構成を見ると、シマノ自身がマグロ番手として想定していないのが読み取れます。現実的なターゲットは近海の青物やショアジギングで、カツオなら 6000 番 (PE3 号-300m) が数字上は対応します (筆者は未使用のため、スペックからの整理です)。
クロマグロ用の番手はどうする? #
PE8 号 300m 級を巻ける番手は、シマノではステラSW 18000 以上にしかありません (定価 18 万円〜)。ツインパワーSW 14000 は 8 号 200m まで、ステラSW 14000 でも 8 号 220m までです。
筆者は今年、酒田のクロマグロ用に 8 号 300m のタックルを組む必要に迫られ、ここで初めてシマノ縛りを離れてダイワの 25 ソルティガ 18000-H を選びました。その割り切りの経緯はクロマグロ釣行の記事に書いています。「シマノ派でもクロマグロ番手だけはステラ一択になる。その予算をどう考えるか」は、ダイワというもう一つの答えと合わせて、次のダイワ編で掘り下げる予定です。
まとめ: シマノのマグロ用リールはこう選ぶ #
- 番手: 狙う魚の PE 号数×長さで決める。カツオ 6000〜8000、キハダ 8000〜14000、クロマグロは 18000 以上 (=ステラのみ)
- ギア比: キャスティング主体なら XG。回収速度と手返しが釣果に直結する
- グレード: 6000 帯の近海ゲームはストラディックで十分戦える。キハダの本命 14000 はツインパワーとステラの 2 択。スペック表の数字はほぼ同じで、差額 8 万円は「高負荷が続いたときの余裕」と「手厚い保証」、そしてリセールの強さに払うお金
- 筆者の答え: コスパを取るならツインパワー。クロマグロ級の長時間ファイトまで見据えた安心材料、または売却前提の資産性を求めるならステラ。筆者は 10 年前のツインパワーでキハダ 30kg を獲れたので、当面この 4 台体制で戦います
道具の選び方は使い手の自由です。この記事が、あなたの「どこまで払うか」の物差しになれば嬉しいです。
※スペック・価格はシマノ公式サイトの数値 (2026 年 7 月時点、価格は税別定価) を参照しています。
よくある質問
ステラSWとツインパワーSWの違いは何ですか?
ツインパワーSWでキハダは獲れますか?
リールのPG・HG・XGはどう違いますか?
キハダ用リールは何番が良いですか?
ストラディックSWとツインパワーSWはどちらが良いですか?
about the author
マグロキャスティングを軸に、ジギング・エギング・ショアの実釣を本音で発信。2018 年再開、相模湾を主戦場に活動中。



