Yahoo!知恵袋には「エギングを10年近くやっているのに、しゃくり方がわかりません」という質問があります。解説動画は無数にあり、しゃくりの名前も無数にある。かえって分からなくなる気持ちは、よく分かります。
先に筆者の答えを書きます。しゃくり方に迷っているなら、まずは3パターンのローテーションだけで十分かもしれません。少なくとも筆者は、秋イカの実釣をこの3パターンだけで回して釣っています。動画でよく見る、ロッドをしならせて音を鳴らすリズミカルなかっこいいしゃくりもしていません。
いろいろなしゃくりを覚えて迷子になり、釣れないまま帰るより、まずは簡単な動きをマスターして1杯釣る。アレンジや新しいしゃくりを覚えるのは、それからで遅くありません。この記事では、その「最初の1杯までの3パターン」を振り幅・テンポ・フォールの秒数まで分解して、全部書きます。秋イカの準備全体は 秋イカエギングの始め方 にまとめてあるので、道具から入る方はそちらからどうぞ。
しゃくり方は結局いくつ覚えればいい? #
筆者は3つだけです。これを順番に繰り返しています。
- 素早い3段しゃくり (基本。いちばん多用)
- ゆっくり大きい2〜3段しゃくり
- ゆっくり大きい1段しゃくり
スラックジャーク、ワンピッチなど、名前の付いたテクニックは世の中にたくさんありますが、最初から全部覚える必要はありません (筆者も名前を意識して使い分けてはいません)。まずはこの3つで1杯釣って、そこからアレンジや新しいしゃくりを足していく順番をおすすめします。そして種類の数より大事なのが、どのしゃくりも「フォールとセット」で回すことです。理由は後半で書きます。
基本の型を分解する:振り幅は時計の7時から11時 #

基本の「素早い3段」は、ロッドを時計の7時の位置から11時の位置へ、手首中心に3回連続で振り上げる動きです。1回のしゃくりでエギはおよそ1m持ち上がるイメージで動かしています。
「ゆっくり大きい」の方は使う筋肉が変わります。肘から動かして、最後に手首を返す。速さで見せるしゃくりではないので、見た目は正直かっこよくありません。でもロッドの移動量が大きいぶんエギは大きく動き、アピールは強い。かっこよさと釣れるアピールは別物です。
テンポの正体:「しゃくった分だけ沈める」 #

筆者のテンポは「しゃくり3回 → フォール約10秒」です。この10秒は感覚ではなく、逆算です。
3回のしゃくりでエギは約3m上がる → エギの沈下速度が約3秒/mなら、3m × 3秒 = 約9〜10秒で元のレンジに戻る。
つまり「しゃくった分だけ沈める」のがフォール秒数の正体です。筆者が3号以上で使っているエギ王Kのベーシックタイプは公式値で約3秒/m (カラー戦記の記事 で整理したとおり、2.5号は約5秒/m、シャロータイプは約6秒/m)。だからエギを軽く・浅く替えたら、同じ3しゃくりでもフォールの待ち時間は伸ばします。エギのタイプとカラー選びは エギ王Kカラー診断ツール を使ってください。
10秒はスマホのストップウォッチで一度測ってみると、体感よりずっと長いはずです。この「長すぎると感じる待ち」を我慢できるかが、次の節につながります。
アタリはフォールと「次のしゃくり出し」に出る #
筆者はテンションフォール派 (ラインを軽く張ったまま沈める) です。明るい時間はラインのたるみとフォールの変化を目で見つつ、ロッドを持つ手の感触。夜は何も見えないので、手の感触だけが頼りです。
そして実績がいちばん多いのは、「素早い3段 → フォール → 次のしゃくり出しでズン」というパターンです。夜は特にこれが多い。フォール中に抱いたイカを、次のしゃくりで聞いてしまっている形だと思っています。ちなみに、しゃくる前の着底と同時にヒットした経験は今のところありません。筆者の釣果は全部「しゃくり→フォール」のセットから出ています。
フォール姿勢がなぜ効くのかは、ヤマシタ公式の解説動画がいちばんイメージしやすいです。水中のエギがどう見えているか、一度見ておくと以降のフォールの待ち時間の意味が変わります。
糸ふけ処理:しゃくり中のラインは張らない #
意外かもしれませんが、しゃくっている最中のラインはあえて緩めています。ラインを張ったまま引っ張るとエギは手前に寄って来るだけですが、緩みを残して振るとエギはその場で跳ねるように動きます (スラックジャークと呼ばれる理屈と同じです)。
糸ふけの回収は、しゃくってロッドを下げるタイミングで巻くの繰り返し。筆者はシングルハンドルのリールで、ノブに手を添えたまま2〜3回しゃくり、最後だけ手を離して糸ふけを回収する癖が体に付いています。この釣りはリールを巻く釣りではなく「しゃくって、沈めて、余った糸を畳む」釣りです。
かっこいいしゃくりは要らない:エギの動きと連動しているか #
最後に、筆者がいちばん伝えたいことを書きます。
しゃくりは重要ですが、もっと重要なのはそのしゃくりがエギの動きにしっかり連動しているかです。動画でよく見る、ロッドのしなる音を鳴らすリズミカルなかっこいいしゃくりができていても、その動きがエギに伝わっていなければ、そして水中のエギがどう動いているかをイメージできていなければ、釣果には繋がりません。しゃくることだけに意識を取られてフォールが不十分になれば、イカに食わせるチャンスを与えていないことにもなります。
これを確かめる練習は簡単です。海水が澄んでいる日に、エギが見える範囲に沈めてしゃくってみる。自分のしゃくりでエギがどれだけ動くのか、どんな動きをするのかが一目で分かります。イメージ通りの動きになっているか。なっていなければ、イメージ通りに動くようになるまで繰り返す。しゃくりのパターンを増やしたりアレンジしたりするのは、「このしゃくりでエギがこう動く」が分かるようになってからで十分です。
さらに、イカがどういうふうにエギを抱いてくるのかまで想像できると尚良いです。ヤマシタ公式のエギングラボに、アオリイカの捕食行動とアタリの出方の関係を生態研究の目線で解説した回があります。抱き方のイメージがあると、フォール中の「待ち」とアタリの意味が変わってきます。
しゃくりはエギを「エビとして演出する」ための手段で、食わせるのはフォールです。落ち着いて、しゃくった後の10秒を待つ。イカがどのタイミングでエギを抱くのかをイメージできるようになることが、しゃくりの上達そのものだと感じています。
それでも釣れない日は、しゃくり以外に原因があることも多いです。釣れない時のチェックリスト で移動判断まで含めて見直してください。
まとめ:3パターンとフォール10秒だけ持って行く #
- まずは3つだけで始める。素早い3段 (基本) → ゆっくり大きい2〜3段 → ゆっくり大きい1段のローテ。アレンジを増やすのは1杯釣ってから
- 振り幅は時計の7時から11時。素早いしゃくりは手首中心、大きいしゃくりは肘から動かして最後に手首を返す
- フォール秒数は「しゃくった分 × 沈下速度」で逆算。3しゃくり (約3m) × 約3秒/m = 約10秒
- アタリはフォールと「次のしゃくり出し」に集中する。フォールを削るとチャンスも消える
- かっこよさより、しゃくりとエギの動きの連動。海が澄んだ日にエギが見える範囲でしゃくり、イメージ通りに動くまで練習する
よくある質問
エギングのしゃくり方は何種類覚えればいいですか?
しゃくりとフォールの間隔はどのくらいですか?
エギングのアタリはどこで取るのですか?
しゃくらなくてもアオリイカは釣れますか?
しゃくりは手首と肘のどちらでするのですか?
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マグロキャスティングを軸に、ジギング・エギング・ショアの実釣を本音で発信。2018 年再開、相模湾を主戦場に活動中。



