「エギングは風速何メートルまでできるのか」。出撃前夜にこの数字を検索して、アプリの予報とにらめっこした人は多いと思います。筆者もその一人で、2026 年 9 月 5 日の三崎港はアプリの予報が北東 8.3m/s でした。行ってみると体は冷え、エギもラインも流され、3 人でノーヒット。
ところが後から気象庁の観測データを引くと、その夜の三浦観測所の平均風速は 3〜5m/s で、筆者が釣れた 5 月の夜とほぼ同じ数字でした。違ったのは最大瞬間風速の 11.6m/s と、釣り座に対する風向です。この記事では、目安の数字だけでなく「予報・観測所・体感がなぜ食い違うのか」を、4 釣行の実データで残します。
エギングは風速何メートルまでできる? #
筆者の目安は、アプリの予報で 5m/s までは普通に釣り、8m/s 前後が「行くか迷うライン」、10m/s を超えたら釣り以前に安全の問題だと考えています。ただし数字だけでは決まらず、釣り座に対する風向 (横風か追い風か) と突風の有無で、同じ 4m/s でも別の釣りになります。
釣り情報サイトの多くは「5m/s までは快適、10m/s で限界」と書いていて、筆者もこの目安自体には異論がありません。この記事で足したいのは、その数字を「どの数字で見るか」です。予報の 8.3m/s と、観測所の 3〜5m/s と、体が冷えて温かいものが欲しくなった体感は、同じ夜の同じ風でした。
予報 8m/s の夜に三崎港で起きたこと #
2026 年 9 月 5 日、18 時から 22 時半まで三崎港の超低温冷蔵庫前で 3 人。タイドグラフ BI の表示は 18〜21 時が北東 8.3m/s でした。結果は 3 人ともノーヒットで、周りにも釣れている人はいませんでした。詳しい経緯は9 月の三崎港の釣行記にあります。
体感で覚えているのは 3 つです。まず、まだ夏のつもりでいたのに体が冷えて、帰りには温かいものが欲しくなりました。万が一の雨用に持っていったレインウェアが、風除けとして役に立ちました。次に、風はずっと強かったわけではなく、強まっては弱まる繰り返しでした。
そして、風と表層の流れでエギとラインが流され、着底が分かりづらい状態でした。確保できた釣り座は沖が左手になる位置で、風は港から左手の沖へ抜けていました。しゃくって回収するころには、投げた方向ではなく左手の沖の方角からエギが戻ってきます。港では沖からエギが戻るのが自然に思えますが、この釣り座では沖は左手です。左から戻ってくるのは、それだけ風と流れに持っていかれていたということでした。
フォールの姿勢が崩れないことを最優先に設計された、渋い状況・スレイカ対策の定番エギ。
舵の役割を果たすハイドロフィンが、風波の日でもブレない安定フォールを生みます。小さめシルエットの3号は、低活性の時期や小型中心・スレた場面で警戒されにくいサイズ。筆者が初めてアオリイカを釣ったのは、真冬の夜の三崎港でカラーはぶちぶちコーラルでした。
ヤマシタ エギ王K 3号
エギは 2.5 号を軸にしていましたが、風で飛距離が出ないので 3 号に替えたりしながら、結局半分以上は 2.5 号で通しました。号数を上げても、エギが手元に戻ってこない状態は変わらず、この日は答えが出ていません。
気象庁の観測データで 4 釣行の風を照合した #
筆者は風速計を持っていません (そういう道具があることも、この記事を書くまで知りませんでした)。そこで、気象庁の過去の気象データから、三崎港の北約 4km にある三浦観測所 (標高 42m) と小田原観測所の毎時データを引いて、筆者の 4 釣行を照合しました。
| 釣行 | 釣っていた時間の平均風速 (観測所) | 日最大 / 最大瞬間 | アプリの予報 | 体感 | 結果 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025-12-13 三崎港 | 3.0〜4.7m/s 北北東〜北東、19 時から雨 | 7.4 / 13.0 | 記録なし | 風はそれほどなく、雨が強まった時だけやりづらい | アオリイカ 1 杯 |
| 2026-05-23 三崎港 | 3.5〜4.9m/s 北北東〜北東 | 7.3 / 13.5 | 記録なし | 風をあまり感じなかった | アオリイカ 1 杯 + マルイカ 1 杯 |
| 2026-06-13 小田原漁港 | 0.5〜2.9m/s (ほぼ無風) | 4.2 / 9.2 | 記録なし | 風の記憶なし | ボウズ |
| 2026-09-05 三崎港 | 3.2〜4.9m/s 北東〜北北東 | 5.5 / 11.6 | 北東 8.3m/s | 体が冷えるほど。強弱の繰り返し、横風 | ノーヒット |

観測所の数字だけ見ると、9 月 5 日は三崎港 3 回のうち最も風が弱い夜です。5 月 23 日は同じ北東の 4〜5m/s で、風をほとんど感じないまま 2 杯釣れています。同じ数字の夜が、片方は「風をあまり感じない」、片方は「体が冷えて温かいものが欲しい」になった。この差を数字で説明できるのは、最大瞬間風速の 11.6m/s と、次の節で書く釣り座の向きだけでした。
気象庁の風の強さと吹き方には、瞬間風速は平均風速の 1.5 倍程度になることが多く、大気の状態が不安定な場合は 3 倍以上になることがある、と書かれています。9 月 5 日は平均 4m/s 前後に対して瞬間 11.6m/s で、3 倍近い突風が混じる夜でした。筆者が「強まっては弱まる繰り返し」と感じたのは、この突風だったと考えています。同じ表には、風速は地形や周りの建物に影響されるので、その場所の風速は近くの観測所の値と大きく異なることがある、という注記もあります。観測所の 4m/s が港の釣り座で 4m/s とは限りません。
横風と追い風、どちらがやりづらい? #
筆者の 9 月 5 日は横風で、これがやりづらさの主因だったかもしれません。超低温冷蔵庫前は港から沖へ抜ける風でしたが、確保できた釣り座は沖が左手になる位置で、ずっと横から風を受けていました。追い風になる釣り座が取れていたら、同じ夜でも違っていた可能性があります。
横風だと、投げたエギは空中で横に流され、着水後もラインが風で膨らんで表層の流れに持っていかれます。着底の合図が手元に来ないので、底を取る釣りが成立しにくくなります。追い風なら飛距離はむしろ伸び、ラインは自分の方へ押されるので張りやすい。向かい風は飛距離が落ちますが、ラインの膨らみは横風ほどではありません。筆者が試したのは横風の位置だけなので、追い風・向かい風の比較はまだ実釣で確かめていません。
対策として筆者が試したのは、エギを 2.5 号から 3 号に上げることだけで、効き目は出ませんでした。次に試すのはラインを 0.8 号から 0.6 号に落として風に取られる量を減らすことです。ラインとリーダーの記事で宣言したまま、9 月 5 日は巻き替えを忘れました。穂先を海面近くまで下げてラインの膨らみを抑える、足場の低い釣り座を選ぶ、といった定番の対策は、まだ自分で検証していないので「効くはず」とは書きません。
筆者がメインで使う 0.8 号と同じ、アップグレード X8 の細番手です。
銘柄を揃えれば太さの違いだけを純粋に体感できるため、今秋の 0.6 号挑戦用に選びました。狙いは潮受けのたるみが減ることによる着底感度とフォールの自然さの向上。実釣の結果は記事に追記予定です。
XBRAID アップグレード X8 0.6号
風速の数字はどれを見ればいい? #
筆者が見ているのはアプリ (タイドグラフ BI) の予報だけで、それで十分だと思っています。ただし予報の数字と釣り座の風は別物なので、予報は「行くかどうか」の判断に使い、「続けるかどうか」は現地で決めるのが現実的です。
予報・観測所・体感には、それぞれ性格があります。
- 予報 (アプリ): 出撃前に見られる唯一の数字。9 月 5 日は 8.3m/s で、結果として体感には近かった。ただし観測所の実測とは 2 倍近く違った
- 観測所 (気象庁): 後から無料で引ける実測値。ただし三浦観測所は港から約 4km、標高 42m にあり、港内の釣り座の風そのものではない。平均風速だけでなく最大瞬間風速も見る
- 体感: 最終的に釣りができるかを決める数字のない指標。突風と風向で大きく変わる。筆者の感覚では 9 月 5 日は「8m/s くらい」で、予報とほぼ同じ
風速の目安を考えるときは、気象庁の階級表も参考になります。平均風速 10m/s 以上は「やや強い風」で、風に向かって歩きにくくなり傘がさせない、15m/s 以上は「強い風」で、風に向かって歩けなくなり転倒する人も出る、とされています。10m/s を超えると、釣り以前に堤防に立っていること自体の話になります。
風が強い日はやめるべき? #
筆者の基準は「予報 8m/s くらいで迷い、行くなら現地で判断する」で、それ以上の明文化はしていませんでした。この記事を書いて決めたのは、行った先で「横風で着底が取れない」状態なら、まず釣り座を変え、変えられなければ粘らずに帰る、という順番です。
海に落ちれば風速の話ではなくなります。堤防のエギングでもライフジャケットは着る、夜は一人で行かない、足元が濡れている釣り座は避ける。ライフジャケットの選び方は桜マークの記事に書きました。
筆者が2020年から使うBSJ-5920RSの現行後継モデル。
水感知の自動膨張・桜マーク タイプA (遊漁船対応) で、腰巻きシリーズ最スリムのスティック形状。キャストもしゃくりも邪魔せず「着けているのを忘れる」のが最大の長所です。現行モデルの公称は初期浮力約9kg・約430g。
ブルーストーム BSJ-5920RS2
もう 1 つ、9 月 5 日の反省があります。釣れない時のチェックリストで「下地を一巡して 30 分反応がなければ移動」と決めたのに、この夜は 22 時半まで同じ釣り座で投げ続けました。風の日ほど、この移動基準が効くはずです。釣り座を変えられない混雑した港では、「帰る」も移動のうちだと今は考えています。
風速別の目安表 (筆者の実例つき) #
上位の記事と同じ目安に、筆者の 4 釣行を当てはめた表です。実例の列が空いている行は、まだ筆者が経験していない風です。
| 予報の風速 | 一般的な目安 | 筆者の実例 |
|---|---|---|
| 〜3m/s | ほぼ影響なし | 6 月の小田原 (観測所 0.5〜2.9m/s)。風の記憶がないままボウズ |
| 4〜5m/s | 操作に影響が出始めるが釣りは成立 | 12 月と 5 月の三崎港 (観測所 3〜5m/s)。5 月は風を感じずに 2 杯、12 月は雨が強まった時だけやりづらかった |
| 6〜8m/s | 対策が必要、行くか迷うライン | 9 月の三崎港 (予報 8.3、観測所は平均 3〜5 でも瞬間 11.6)。横風でエギとラインが流され、ノーヒット |
| 8〜10m/s | 釣りは成立しにくい | 未経験 |
| 10m/s〜 | 気象庁の「やや強い風」。傘がさせない風で、安全が先 | 未経験 (行かない) |
今秋の釣行で確かめること #
- 風のある日は、沖を背にする追い風の釣り座を優先して取り、横風の 9 月 5 日と比べる
- ラインを 0.6 号に巻き替えて、風に取られる量が減るかを確かめる
- 釣行ごとに「アプリの予報」「体感」をメモし、後から気象庁の観測所の平均と最大瞬間を引いて 3 つ並べる
- 移動基準 (30 分無反応で移動、動けなければ帰る) を風の日にこそ守る
雨と風のどちらが敵かという話は雨の日のエギングの記事に、潮回りと風の関係は潮回りの記事に書いています。
まとめ #
- 目安は予報 5m/s まで普通に、8m/s 前後で迷い、10m/s 超は安全が先。数字は上位の記事と同じで、筆者も異論なし
- 予報 8.3m/s の 9 月 5 日、気象庁の三浦観測所は平均 3〜5m/s で、釣れた 5 月と同じ数字だった。違いは最大瞬間 11.6m/s の突風と、横風の釣り座
- 観測所の値は港の釣り座の風そのものではない。気象庁自身が「近くの観測所の値と大きく異なることがある」と注記している
- 横風は着底が取れなくなる。追い風の釣り座が取れるかどうかが、号数やラインより先の対策
- 行くかどうかは予報で、続けるかどうかは現地で。横風で着底が取れなければ釣り座を変え、変えられなければ帰る
よくある質問
エギングは風速何メートルまでできますか?
予報の風速と実際の風が違うのはなぜですか?
エギングは横風と追い風どちらがやりづらいですか?
風速4〜5mでもエギングは釣れますか?
風が強い日のエギングはエギやラインをどうすればいいですか?
about the author
マグロキャスティングを軸に、ジギング・エギング・ショアの実釣を本音で発信。2018 年再開、相模湾を主戦場に活動中。



